「ふくしま百年基金」構想を、福島県庁記者クラブで発表!

2017年8月23日、福島県庁記者クラブにて、ふくしま連携復興センター代表理事らが

「ふくしま百年基金」の構想を発表した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会見に臨む「ふくしま連携復興センター」天野代表理事(右)と山崎理事(左)。

8月23日(水)13:30~ 福島の未来を豊かにするための基金

「ふくしま百年基金」の設立会見がテレビ、ラジオ、新聞社などの記者を前に

約20分にわたって行われた。その様子をリポートした。

 

山崎:ただいまより福島を豊かにする「地域のおサイフ」ふくしま百年基金の設立について

  会見をさせていただきます。最初に私どもの代表理事、天野よりお話しをいたします。

 

天野:今日はお忙しいところお越し頂きまして、本当にありがとうございました。

  代表理事の福島大学の天野と申します。

  ふくしま連携復興センターは2011年からこれまでずっと中間組織、

  つまり被災者の方の支援をするための市民活動団体。

  市民活動団体を支援する団体としてスタートし、

  いまや県内の各団体さんにお入りいただいて、

  情報の提供や様々なネットワークづくりを手がけてまいりました。

 

  今日、なぜみなさまにお集まりいただいたのか?

  ふくしま連携復興センターのこれまでの活動をお話しするのではなくて、

  これから新しい動きを始めるんですと。

 

  ふくしまの復興を超えた向こう側にあるものを目指していく、

  極めて歴史的な日になるであろうというふうに私たちは考えています。

  それはどういうことかというと、たとえば阪神淡路の震災のときに、

  のちに「ボランティア元年」というふうに呼ばれました。

  東日本大震災をへて、まだまだ6年5ヶ月ちょっとですからまだまだですが、

  私たちは市民社会の成熟度が増したというふうな

  「市民社会ふくしま」をぜひ構築していきたいというふうに思っています。

 

  今までふくしま連携復興センターは、さまざまな事業を展開してきたと言いましたが、

  今は国、あるいは県からの様々な事業も含めて、あるいは我々独自の事業も含めて

  3億超の予算規模で事業を展開しています。それにさらに新たな組織を作って

  「市民が市民の活動を支える」という仕組みを構築していきたい。

  

  つまりお手元にあるパンフレット「ふくしま百年基金」

  100年後のふくしまを、次の世代に元気な福島を残していきたい。

  そのために私たちが何ができるのか?

  もちろん行政の方々がずっと先頭に立ってやってこられた。

  でもそれだけでは、どうしても隙間が埋まっていくだろう。

  その隙間を埋めていくのが市民活動団体というふうに思っています。

  つまり冒頭に申し上げたとおり、市民活動団体の我々が、

  県内の市民活動団体に呼びかけて、多くの県民市民の方々に呼びかけて基金を作っていく。

  市民の活動を、市民が支えるという仕組みを作っていく。

  そのことが結果として「市民社会ふくしま」の実現につながっていくんだ

  というふうに我々は考えています。

  詳細については、理事の山崎から話しをさせていただきたいというふうに思います。

 

山崎:それでは私から「ふくしま百年基金とはなにか」ということと、

  本日から初めてまいります「ふくしま百年基金の賛同人の募集」について

  お話しをさせていただきたいと思います。

 

  ふくしま百年基金とは、地域で活動する市民活動団体。

  NPO法人やボランティア団体の活動を、資金的に支えていくという仕組みであります。

  これが「福島初」であるということ。

  今までになかった仕組みであるといわれるゆえんについて、

  これから話したいと思います。

 

  地域には地域の困りごとがあって、

  それを「なんとか解決していきたい」

  というふうに考える市民の方々がいらっしゃいます。

  そうした方々が活動団体を立ちあげて、

  地域をよくするための活動をしていきたいという市民の方々がいらっしゃいます。

 

  同時に「今自分自身はそうした活動はできないけれども、

  できれば仕組み的に支えていきたい」と思う方々がいらっしゃいます。

  寄付をする。あるいはそうした活動について地域をよくするために

  資金の提供をしたいという方々がいらっしゃいます。

  こうした市民の方々のあいだでの社会的な資金の循環を生み出していくのが、

  ふくしま百年基金であります。

  

  同時にふくしま百年基金という、

  新しい仕組みを担っていくのも市民の方々でありまして、

  市民が市民の視点で、市民を支えていく。

  新しい仕組みとしてのふくしま百年基金をこれからつくってまいりたいと思っています。

 

  もう一つ。市民がその地域の困り事や魅力を深く知る。

  そして自分自身がどんなことが地域にとってできるのか。

  地域にどんな貢献ができるのかということを考え、

  そうした機会を提供していくということによって、

  市民ならではの視点が入ってくると言うことであります。

 

  こうした資金の循環、そして市民同士の志、

  思いの循環を作っていくのが「ふくしま百年基金」です。

  具体的に申し上げますと、ふくしま百年基金では

  3つの役割を果たしていきたいと考えています。

 

  まず一つ目が地域活動団体、

  NPO団体やボランティア団体を資金的に支えていくということです。

  市民活動団体に対する助成を行う、

  それから投資を行うといったことを主にやってまいります。

 

  そして地域をよりよくするための寄付を推進するということで、

  一人ひとりの思いを「寄付」という形で地域に循環をしていただく。

  そのための地域の受け皿をきちんと作っていく。

  あるいは地域で活躍をしている企業の方々、

  各種団体の方々が「寄付」という形で地域に貢献する。そ

  の道を作っていくということが二つ目の役割であります。

 

  三つ目が地域を知り、地域の未来を共に描くということで、

  地域にどんな魅力や困り事があって、

  どんな方法で解決していかなければならないのか。

  そういったことをワークショップや座談会を開催することによって、

  地域の声を受け止めていく。

  この3つの役割をふくしま百年基金は担ってまいります。

 

  ふくしま百年基金は、私どもふくしま連携復興センターが、

  これまでの活動を通して、構想してきたものではありますが、

  このプロセスについて、ぜひ地域のみなさん、

  県民の皆さんに参加をしてもらいたいと思っております。

  逆をいえば地域の声、県民の声が反映されていないものは意味がないと考えています。

  そのために参加の方法として4つの方法を今回用意しています。

 

  まず一つは設立賛同人になるということです。

  設立賛同人と呼ばれる方々は、

  このふくしま百年基金の市民の循環を作り出していくんだという

  百年基金のコンセプトに賛同いただける方であれば、

  どんな方でもご賛同頂けることができます。

  公式パンフレットに「賛同する」というところがあるので、

  こちらに記入いただいて、私たちの設立準備室まで郵送。

  もしくはHPが立ち上がっているので、HPからでも賛同いただけることができます。

 

  もう一つは「教えてください。あなたの描く百年後のふくしまキャンペーン」

  というものを開催します。このパンフレットの3枚目に応募用紙があります。

  そこには「あなたが描く百年後のふくしま」と記載されているだけで

  まったくの白紙です。そこにぜひ県民の皆さんがたの考える百年後を書いて、

  私どもにお送り頂きたいと思います。

  そこに書いてあるふくしまの百年後の姿。

  そこを目指してふくしま百年基金で、どういう事業をしていくのか。

  どんな分野に資金を活用していくのかを、

  みなさんの声を受けてみなさんと一緒に考えていくというキャンペーンです。

 

  キャンペーンの応募の詳細につきましてもこのパンフレット、

  あるいはHPの方に詳細な記載をしているので、ぜひご覧いただきたいと思います。

  本日8月23日から10月15日まで受け付けをしております。

 

  3つめの方法、4つめの方法、併せてご案内させいただきますが、

  ふくしま百年基金というものをより深く知っていただいて、

  地域の方と一緒に百年後のふくしまを考えていくために

  県内各地で座談会やワークショップを開催して参ります。

 

  このワークショップですが、福島県内のすべての市町村を

  本日夕方から回って、全59市町村で開催をしたいというふうに思っております。

  細かくなりますが、全59市町村の座談会ワークショップの日程、

  それからワークショップについて記載しております。

  まだ一部場所が未定のところがありますが、

  HPで随時アップしてまいりますので、ご確認ください。

 

  すべての地域をまわっていくという取り組みを通じて、

  まさに私どもが「ふくしま百年基金」を形つくっていくにあたって、

  一番重要だというふうに思っていく市民の志の循環ですね。

  「市民の視点で、市民を支えていく」と。

 

  この市民の視点を、全県をめぐるキャラバンの中で

  つかみ取っていくことが非常に重要だと思っておりますので

  ぜひお近くの市町村に伺う際には集まっていただいて、

  私どもと一緒に「百年後のふくしまを考えていく」という取り組みに

  参加していただきたいと思っております。

 

  参加をしていくことで、ふくしま百年基金が

  ふくしま連携復興センターの一つの事業というところから、

  福島県民が一緒にこの基金を生み出していく。

  百年後の地域のために私どもは一緒にこの新しいチャレンジを、

  新しい仕組みを生み出していくということを

  ぜひみなさんと一緒に成し遂げていきたいというふうに思っております。

  なにとぞよろしくお願いしたいと思います。

 

  本日からHPがオープンしておりますし、

  またFBというSNSを使っての発進もしております。

  このパンフレットは私ども設立準備室にお問い合わせいただければ、

  いつでもお送りしたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

  それでは私どもからの発表は以上になります。ありがとうございました。

 

質問:

Y新聞:コミュニティ財団、福島県は初ということなんですけど、

   全国的には各都道府県に一つくらいはあったりするのか?

 

山崎:コミュニティ財団の定義もいくつかある。

   今、全国で「コミュニティ財団協会」というのが立ち上がっている。

   そちらの協会で採用している定義というのが地域、コミュニティを限定して、

   逆にテーマは特化せずに、そのコミュニティの中でのしていくというもの。

   そちらに加盟している団体が23ある。

   つまり全国で23のコミュニティ財団があるということがいえる。

 

Y新聞:最近クラウドファンディングが時代のトレンドになっているんじゃないかと思う。

   百年基金がやられる事業については?

 

山崎:クラウドファンディングのように「このプロジェクトを応援したい」

   または「この人のチャレンジを応援したい」という姿が

   明確になっている方については

   クラウドファンデングのように直接応援をするということで、

   自分のお金がどう使われるのかが、

   より明確にわかりやすくなってくるといえると思う。

   一方で「この取り組み」「この人の取り組み」

   というところまで限定できていないけれども、

   この町のために何か自分の資金を活用したい。

   地域のために、たとえばこの地域の環境を良くしていくために、

   歴史を残していくためにお金を活用したいと思っていらっしゃる方のためには、

   少し間口を広くしたこうしたコミュニティ財団の方が、

   より使い勝手のよい仕組みになるのじゃないかなと思っている。

 

N新聞:大体いつぐらいまでに、どれくらいの寄付のお金が集まることを期待しているのか。

   そういった想定みたいなのはあるか?

 

山崎:まずは本日から賛同人を募集するということに取り組んでいる。

   賛同人募集は12月くらいまでの間に続けていきたいと思っている。

   賛同人集めというのが、試金石だと思っている。

   地域に広がりを作っていって

   「こうした基金が必要である」という声を、まず聞くのが大事だと思っている。

   その上で、この基金が県民の方々にとって必要であるということがわかった段階で、

   寄付を集めるという次のステップにうつっていきたいと思っている。

   そのタイミングでより具体的な目標設定であったり

   「どうしたことに活用したいか」というあたりを示していきたいと思っている。

    時期的には、今のところ12月に開催したいと思っている。

 

N新聞: 賛同人の方々は「資金提供をしたい」という人に限るわけじゃないんですね?

 

山崎:そうですね。逆に「使いたい」という方「応援したい」という方、

   すべて「この地域によい影響をもたらしてくれる」と

   期待をいただいている方であれば、すべての方が賛同人になることができる。

 

M新聞:賛同人については、あらゆる観点から賛同する方であれば、

    誰でもなれるということなんですけれども、

    賛同人は特に県内の方じゃなくてもなれるのか。

    寄付を募る時とか、プロジェクトが進んでいった場合というのは県内の方に限るのか。

    それとも全国から寄付を募る気持ちとか。どのようなお考えですか。

 

山崎:詳細な設計はこれからだが、

   コミュニティ財団、コミュニティ基金という性質を考えると、

   基金を使う場所としては福島県内に限定をする必要があると思う。

   一方で寄付を集める先については、

   基金を提供したい、活用してほしいと考える方は

   福島県外にも、あるいは全世界にいらっしゃると思うので、

   そういう方々からも幅広く寄付を募ってまいりたいと思う。

 

質問:設立の背景にはどういうことがあるのか?

 

天野:震災後の2011年、2012年にものすごい勢いでNPOが認証されてきた。

   ただ時間が経つにつれて、

   初期の目的を終えたとする団体も少なくないのも事実。

   それでもがんばっている団体はたくさんある。

   力のある団体は、これまでのご質問にもあったように

   クラウドファンディング等々で集めている。

 

   ただもうちょっと範囲を狭めて、

   たとえばある地域の復興公営住宅に支援に行く。

   そういう非常に良心的だけれど資金的に潤沢ではない団体もある。

   従って我々はそういったところも見つめているわけです。

   福島県全体の市民の力をつけていくときに、

   我々中間支援組織として、いったい何ができるかということは、 

   これまでも議論をそうとう重ねていった。

   従って、中間支援組織ならではのこうした百年基金というものを、

   一つの仕組みとして市民が市民を支えるという

   今までにない新しい仕組みとして立ちあげることは

   必要なのではないかということが背景にあって、

   今回のふくしま百年基金の設立の呼びかけを開始したということです。

 

質問:寄付は法人にもお願いする形になるんですか?

 

山崎: 個人の方だけではなく、企業や各種団体の方にもお声がけをしたいと思う。

 

質問:助成先の団体への事業評価ということもやられるのか?

 

山崎:地域の方々の資金を活用するということになるので、

   効果をあげたかどうかという評価が必要になってくると思う。

   その仕組みについても併せて検討していくところです。

 

天野:蛇足だが山崎も事業評価について独自に相当学習を積んでいる。

   公金だから、お金については、様々なところでいろいろな噂を聞くが

   そうしたことがない形でしていきたいと思っています。

 

M新聞:基金はどういった方が事業の主体になるのか。

   ふくしま連携復興センターの方々なのか。そ

   れとも賛同された一般の方々に活動してもらうようになるのか。

   それについてはどう考えているか。

 

山崎:まずは賛同人の募集を含めて、現在進めているプロジェクトについては

   ふくしま連携復興センター内に設置した「ふくしまの百年基金設立準備室」が

   実務を担うことになっている。実務を担う過程で私どもの会員のNPOの方だったり、

   地域で活動する方々の助言をいただきながら活動していくという形になる。

 

M新聞:どういった方が活動するかということは、

   今のところはNPO団体には限らないということか?

 

山崎:資金の提供先になりうるか?という意味か?

   たとえば助成金を誰がもらえるのかということか?

 

M新聞:そうです。

 

山崎:広く地域活動団体というふうに検討していくので

   たとえば「法人格を持っているかどうか」ということなども

   今の段階では条件にいれていない。

   ただ事業を構成する段階で資金提供者の意思もあるだろうし、

   それぞれの助成プログラムの性格もあるので、

   そういうものに何らかの条件をつけていくということは当然ありうることだと思う。

 

天野:今のご質問に付け加えると「ふくしま百年復興基金」ではない。

   復興の先にあるものを、今からやってきましょうと。

   復興集中期間があって、そのあとどうするんですかという時に

   私たちは、市民の側から「国はやめるんですか?」というふうにはならない。

   我々は我々の立場でやり続けていく。

   「復興という文脈でずっとやり続けるんじゃない」ということなんです。

 

   だからリーフレットにも記載したとおりに、

   百年基金という名称で、今の福島を次の世代にどういう形で受け継いでいくかです。

   従って復興支援をしている団体だけが対象ではない。

   たとえば浪江町の支援団体の方々も、すでに

   「こういう状況があっても帰還される方、

   あるいは帰還されないでここに居住される方々。

   それでもここの暮らし方をどうするか」という

   復興という文脈だけではとらえられない様々な動きが出てきている。

   我々はそういうこともつかみながら「福島は百年後をどうするか」を。

   まぁ、ここにいる方々は我々も含めてお亡くなりになっていると思うけれども、

   我々の元々にあるのは「福島を簡単に諦めるわけにはいかない」という思いです。

   そして次の世代にきちっとバトンタッチしていく。

   そのための仕組みが必要だということで、今回こうしたものになっていった。

   ぜひマスコミの皆さんもご協力いだたければと思います。

   よろしくお願いいたします。

 

山崎:補足になりますが、まさに協力いただきたいと私どもも思っておりまして、

   この動きは今、ふくしま連携復興センターという、

   一つの社団法人の中で検討した小さなプロジェクトにすぎないが、

   この構想を、この思いを広げていく必要があると思う。

   可能であれば、福島県民190万人全員のお話を聞いて

   「どんな百年後を作れば良いか」ということを聞ければ一番素敵だが、

   現実的ではないので、できるだけ多くの方々にこのことを知っていただいて、

   関心を持っていただいて、

   一緒に百年後を作っていく仲間になっていきたいと思っている。

 

   そのためには我々の力だけでは、とうてい及ばないので、

   マスコミの方々のお力も借りながら、この動きを広げていきたい。

   そして百年後を作っていきたいと思っています。

   ご協力をよろしくお願いいたします。