『ふくしま百年基金』設立発起人会(2)
2.地域の明日と、未来を創造する ~講演~
公益財団法人地域創造基金さなぶり専務理事・事務局長
鈴木祐司氏 より
第2部での鈴木氏の講演は「コミュニティ財団とはなにか」「ふくしまにコミュニティ財団が生まれることの意味」について語られた。以下に要約を記載する。
コミュニティ財団とは、地域の課題と、課題解決のために活動している方々を仲介する仕事である。たとえば震災発生後に資金的な支援をしたいと思ったときに「どこに資金を提供したらいいのかわからない」という人たちと、現場でいろいろな活動をしている人たちの間にたってスムーズなお金の流れを作るのが公益財団の役割。コミュニティ財団は1914年にアメリカで始まり、すでに104年の歴史がある。アメリカでは地域ごとにコミュニティ財団がある。そのくらいの規模感でお金を循環する財団があるということを覚えておいてほしい。日本で始まったのは2008年、京都が最初だった。
大切なのは地域を限定することである。今回設立されたふくしま百年基金でいえば、ふくしまの課題は宮城や東京、あるいは九州とも違う。また地域を限定することによって、お金を出す側も地域のことについて詳しくなるという利点がある。
テーマを限定することについては、たとえば「子どもの問題を解決したい」というときに、子どもだけではなく親の課題があったり、地域の学校の問題があったりと非常に多岐にわたる。仮に問題を行政にふると「学校の中は文科省、学校を出ると厚生労働省」というように、いろいろな形でわかれてしまうのが現状だ。だから地域が一緒に活動することをコミュニティ財団は支援する。
今、いろいろなお金の流れが生まれている。社会的なインパクトを生み出す投資、休眠預金を市民活動の資金源としていく動き、遺贈寄付、ふるさと納税でも返戻金は不要なので地域の社会課題解決のために利用してほしいという動き、クラウドファンデングなど。このようにこの国にはまだまだ、もっといろいろなお金があるのだということをおさえておきたい。
お金だけではなく、担い手の問題もある。いろいろな事業をやる中で失敗や成功を繰り返しながら人材育成と地域活動をやるための財源を増やしていきたい。
ふくしまでの課題解決にあたり、来年くらいの直近の話と5年10年くらいの中長期的な話を財団が考えるだけではなく、地域のみなさんが一緒に考えていくことが大切。この考えから言えば、今はまだないが今後10億50億の支援資金をどういうふうに活用することで福島の未来を豊かにできるのだろうか。誰にどういうふうに活用することで、何を創出すればいいのかを、ぜひ地域のみなさんと一緒に議論したい。そういう中で信頼され、期待を寄せられる財団になるのには、どのような取り組みが必要なのか。みなさんは、この財団の生みの親であるわけなので、一人ひとりがこの財団に対して何をすればいいのか。どういうふうにすれば期待と信頼を得ながら地域にとって欠かせない役割になれるのかの意見をいただきたい。
最後に「ふくしまにはこういう課題がある。こういうことが起きている」ということを内外に見せながら、豊かな百年後のふくしまに向けて作っていく。その始まりを共に迎えられることを非常にうれしく思っている。
3.発起人と共にふくしま百年基金のステークホルダーを考えるワークショップ
参加者が2グループに分かれて、百年基金のステークホルダーになるであろう個人・団体を書き出していった。似た団体も出てきたが、そのカテゴリわけや書き方に個性が見られた。
4.お茶とお菓子で約1時間の懇親会
県内よりも都内からの参加者が多く残った懇親会では、「NPO法人まちづくり新町なみえ」の神長倉豊隆代表が乾杯の挨拶。「浪江町の復興を考えるときに、まさに百年という年月が必要なのかもしれない」との言葉に深く考えさせられた。